ここから JBS通信 2016年6月号 No.25  主な内容 1. どう活かす、差別解消法 2. リオ・パラリンピックに向けて 第4回 日本柔道の復活を ~柔道~ 3. 消費生活あどばいっち 第4回「高機能繊維で夏を快適に」 竹田幸代 4. 心のうた 公開収録 5. 音訳ノート 第4回「音訳はやわらか頭」 渡辺典子 6. ボランティア募集 7. JBS日本福祉放送 主な番組案内 8. 同行援護従業者(ガイドヘルパー)養成研修のご案内 9. 同行援護の登録者募集中 10. インフォ・ボックス 11. 編集後記、奥付、広告 1. どう活かす、差別解消法 5月20日から3日間、日本盲人会連合(以下、日盲連)が主催する第69回全国盲人福祉大会が1500人を集め、青森市内で開催された。この4月1日付で施行された障害者差別解消法ならびに改正障害者雇用促進法を中心に、同行援護(ガイドヘルパー)、中途視覚障害者とロービジョン、就労促進等が主に議論された。 1 差別解消法は運用次第 障害者差別解消法は、今大会研修のメインテーマで、「障害者差別解消法をどう活かすか~施行後の課題~」と題して行われた。基調講演を田中伸明(たなか のぶあき)氏(弁護士、視覚障害)が、弁護士でもある日盲連会長竹下義樹(たけした よしき)氏が補足説明を行い、質疑を含めて約2 時間にわたって議論された。 そもそもこの制度をどう解釈するのか、合理的配慮をどう考えるのか、差別とは何か、直接差別と間接差別等々について多角的な解釈や説明が行われた。 分かりやすい間接差別の事例もいくつか示された。そのひとつ。レストランで犬同伴お断り、と盲導犬同伴の視覚障害者の入店を拒否するケース。これは、間接差別の典型。犬という表現で盲導犬を、つまり視覚障害者の入店を拒む差別行為に当たるという。差別解消法を活かすのは、運用次第。この制度の施行を機に、障害当事者も社会も一緒に理解し合い協力し合いながら、社会環境を整えていく、そういう努力が相互に求められる。詳細は、JBSの番組で。5月30日から放送。 2 同行援護、制度充実に期待 同行援護(ガイドヘルパー)制度への関心は非常に高い。日盲連が平成28年度に取り組むべき課題として、全国の会員団体が提出した事案は、合計101項目。内、同行援護関係が11項目を占めている。中でも、交通機関が少ない地域では、福祉有償運送への関心が高い。 同行援護制度の充実は、差別解消法や改正障害者雇用促進法とも密接不可分の関係で並行していくようにも考えられる。というのも、同制度の充実で視覚障害者が社会に参加する機会が多くなり、今までは表面化していなかった問題が、直接・間接差別として現象化して来ることが予測されるからだ。 3 ロービジョン対策 中途視覚障害者の支援策やロービジョン対策が、最近、日盲連の運動方針に盛り込まれるようになった。具体に何をどうするか、容易ではないようにも伺える。平成28年度からは、積極的に取り組みたい、と竹下会長。新たに設けられる相談室構想がそのひとつ。この相談室が諸課題の窓口となり、中途視覚障害者の支援、ロービジョン対策、差別解消法に伴う諸々、同行援護、就労等の諸課題に対応して行こうという計画。平日はいつでも相談できる体制が組まれる。 2. リオ・パラリンピックに向けて 第4回 日本柔道の復活を ~柔道~ 夏季パラリンピックの競技の中で、視覚障害者だけが出場できるのは、ゴールボールと5人制サッカー、そして、日本のお家芸と言われる柔道だ。 5月4日、リオ大会への柔道の代表選考会が東京・講道館で実施され、次に紹介する各階級の優勝者、男子5名・女子1名の計6名が代表に内定した。 男子60キロ級 廣瀬 誠(ひろせ まこと) 男子66キロ級 藤本 聰(ふじもと さとし) 男子73キロ級 北薗 新光(きたぞの あらみつ) 男子90キロ級 廣瀬 悠(ひろせ はるか) 男子100キロ級 正木 健人(まさき けんと) 女子57キロ級 廣瀬 順子(ひろせ じゅんこ) *なお、女子63キロ級の米田真由美(よねだ まゆみ)は、国際パラリンピック委員会・個人招待枠の指名を受け、代表に内定している。 注目は、男子100キロ級の正木選手。前回のロンドン大会では日本柔道の唯一のメダルとなる金メダルを獲得。リオ大会では二連覇を狙う。また、男子66キロ級の藤本選手はアトランタ・シドニー・アテネで三連覇を成し遂げた選手だ。二大会ぶりの出場となるリオで再び頂点に立ってほしい。 選考会では、夫婦で代表内定を勝ち取った男子90キロ級の廣瀬悠選手と女子57キロ級の廣瀬順子選手にも注目が集まった。 パラリンピックに柔道が取り入れられたのは、88年のソウル大会から(女子は、04年のアテネ大会から)。日本代表の獲得メダル数は、計7個を獲得したバルセロナ大会が最高。しかし、近年は、北京が銀1個、ロンドンが金1個という結果に終わった。 リオ大会では一つでも多くのメダルを獲得し、日本柔道の復活を見せてほしい。 3. 消費生活あどばいっち 第4回「高機能繊維で夏を快適に」 竹田幸代 汗ばむ季節になってきましたね。満員電車なんかに乗ると気になるのが自分や隣の人の汗、そして臭い。でも、ご存知ですか?日本には世界をリードする高機能な繊維がたくさんあるんですよ! 冬の吸湿発熱性繊維ではユニクロのヒートテックが有名ですが、夏には、汗を吸ってサッと乾かす吸汗速乾性、抗菌・防臭、消臭性のある繊維が強い味方ですね。 でも、その効果って確かなの?洗濯した後も続くの?ということで目安にしてほしいのが一般社団法人繊維評価技術協議会の製品認証マークSEK。Sは清潔、Eは衛生、Kは快適を表すんだとか。抗菌防臭加工は青、光触媒抗菌加工は紫、抗かび加工は緑色などの色分けで表示されています。ほかにも、消臭加工や抗ウイルス加工のマークなんかがありますよ。それぞれの機能について、効果、効果の耐久性、加工の安全性、品質管理システムを保証するもので、厳しい認証基準をクリアした製品のみに表示を付けることができます。一度、商品のタグをチェックしてみてくださいね。スポーツウェアやワイシャツ、靴下、肌着、タオル、介護用品など、多くの製品がSEKの対象になっています。 経済産業省のサイトにはこんな記事も。「日本が得意とする高機能性繊維分野で国際標準を続々獲得しました!~分かりやすい性能表示で、更なる市場拡大へ~」。日本式の試験方法が国際化されて、もともと高い技術力をもつ日本の繊維メーカーの国際競争力がさらに高まるということですね。また、きちんとした規格ができたことによって、消費者にとってもよりよい選択ができるというメリットが。 多くの量販店やメーカーでは、高機能繊維製品をブランド化しています。高機能繊維で、ご自身にも周囲の方にも快適な夏を! たけだ ゆきよ 消費生活アドバイザー。社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター サービス部勤務。きんきビジョンサポート(KVS)代表代行。 4. 心のうた 公開収録 5月5日(木・祝)、兵庫県伊丹市のいたみホールで、JBSの番組「心のうた」の公開収録がおこなわれました。 当日は約百名の方々にお越しいただき、公開収録を成功裏に終えることができました。ご来場くださった皆さま、誠にありがとうございました。 また、伊丹市の視覚障害者団体「ファーストウインドの会」の皆さまには企画から当日の運営に至るまで多大なるご協力をいただきました。改めて御礼申し上げます。  当日の様子は、次の日時に放送します。 前半 6月6日(月)~19日(日) 後半 6月20日(月)~7月3日(日) いずれも、8時00分~8時30分。   5. 音訳ノート 第4回「音訳はやわらか頭」 渡辺典子 テレビのナレーションを耳にして思わず「イチバでしょ」と言ってしまいました。築地はシジョウ、錦(にしき)はイチバ。漢字で書けば同じ「市場」ですが、読みは異なります。他にも、足跡(あしあと/そくせき)、変化(へんか/へんげ)、学生(がくせい/がくしょう)など多くの例があります。正しい読みを選択することは文字を音に変えて伝える音訳ではとても大切なことです。文の意味を的確に把握し文脈に合った読みが得られるよう、常に漢字に関心を持つことが大事です。 漢字だけではなく、符号にも注意が必要です。例えば、読点の場合、「…ではないか、と思った」という文では、読点を「と」の後ろに移すと自然な聞きやすい読みになります。音訳では自然に聞きとれる読みが求められています。「 」や( )、……等々、文中にはさまざまな符号が使われています。意味するところを読み取って、言葉に置き換えたり、間やピッチで表現します。 しかし、いつも同じパターンとは限らず、そこで「やわらか頭」が求められます。臨機応変、柔軟な思考です。この「やわらか頭」を支えるのは日頃の積み重ねと好奇心だと思います。獲得した知識は記憶するより記録して自己のツールとし、リスナーとの情報の共有を楽しみたいものです。 わたなべ のりこ 音訳歴40年以上の現役ボランティア。各地で後進の指導・育成にあたる。 6. ボランティア募集 JBS日本福祉放送では、新聞音訳ボランティアを募集しています。 活動内容は、朝日新聞・日本経済新聞・読売新聞のいずれかを生放送で音訳していただきます。放送時間は、朝刊が10時から12時、夕刊が16時30分から18時です。 ご興味のある方は、電話予約のうえ、スタジオ見学にお越しください。 電話 06(4801)7400 ◆ボランティアの声 篠原 保枝(しのはら やすえ) リスナーに正確な情報を伝えるためには、日々アンテナを張っておかなければなりません。 例えば、スタジオに入る前日には、必ずテレビやラジオのニュースをチェック。人名・地名などの読み方を確認します。また、当日はスタジオ内で辞書やパソコンを使っての調べもの。 視覚障害者への情報支援。そのやりがいをあなたも感じてみませんか。 7. JBS日本福祉放送 主な番組案内 ・「障害者差別解消法をどう活かすか~施行後の課題~」5月30日(月)から。詳細は、HPで。オンデマンドでも放送。 ・「今日の新聞 朝刊」 月曜日~日曜日 10:00-12:00 ・「今日の新聞 夕刊」 月曜日~土曜日 16:30-18:00 ・「新刊ラジオ」 月曜日~日曜日 19:00-19:30 ・「IT情報アップデート」 月曜日~日曜日 9:30-10:00 ・「らくらく生活」 月曜日~日曜日 20:30-21:00 オンデマンドでも放送。 ・「心のうた」 第1・3週 月曜日~日曜日 8:00-8:30 オンデマンドでも放送。 ・「JBSインフォ・ボックス」 月曜日~金曜日 12:00-12:15 8. 同行援護従業者(ガイドヘルパー)養成研修のご案内 NPO法人の日本福祉放送が運営する音友(おんゆう)事業所では、以下の要領で、同行援護従業者養成研修(一般課程・応用課程)を実施します。 日程 【一般】 9月17日(土)、18日(日)、19日(月・祝) 【応用】 9月24日(土)、25日(日) 会場 浪速区民センター 定員 各19名 受講料 【一般】10,800円(税込) 【応用】 8,800円(税込) *テキスト代(税込2,592円)別途。 問合せ 音友事業所 担当 森尾 電話 06(4801)0171  ファックス 06(4801)7401  HP http://eye-eye.jp 9. 同行援護の登録者募集中 音友では、利用者&ヘルパーの登録を随時受け付け、外出など移動の援護、視覚的情報の支援、代筆・代読などのサービスをおこなっています。 また、ヘルパーへの研修も予定しています。 お問い合わせは、音友事業所まで。 10. インフォ・ボックス ◆大阪府障がい者 芸術・文化フェスタ2016 出演者募集 9月17日(土)~19日(月・祝)に、堺市のビッグ・アイで開催されるイベントの出演者募集案内。 対象 大阪府に在住または在勤の障害者で、芸術・文化活動をおこなっている個人または団体。 参加費 無料 応募 ①所定の応募用紙②発表内容の映像もしくは画像や音源などを同封のうえ、封書にて。締切りは7月8日(金)必着。 問合せ ビッグ・アイ 「フェスタ」係  電話 072(290)0962 ◆京都大学吹奏楽団 第31回サマーコンサート 日時 6月18日(土) 18時30分 開演 場所 八幡市文化センター 大ホール 入場料 無料 その他 点字プログラム・会場案内あり 問合せ 京都大学吹奏楽団  電話 075(761)7851 11. 編集後記、奥付、広告 編集後記 熊本の視覚障害被災者のことを強く意識しよう、緊急に500万円の義援金を募り、被災地に届けたいと青森大会で日盲連の竹下会長は力強く呼びかけた。他にもいろんな視覚障害関連団体で募金活動が行われ、現地では歩行訓練士が中心になって支援活動が行われている。 今や災害は、忘れた頃にではなく、忘れるいとまさえも与えずに頻々と襲って来る。視覚障害者には特に、防災・減災の備えは焦眉の急。早く備えを構築したいと気持ちがはやる。(川越) 企画・編集 川越利信・金田直樹/レイアウト 佐藤庸子 奥付 JBS通信 2016年6月号 №25 発行日 2016年5月28日 発行者 JBS日本福祉放送(社会福祉法人視覚障害者文化振興協会) 住 所 〒534-0026 大阪市都島区網島町4番12号 発行責任者 川越利信  定価 1部50円 広告 ちょっとぜいたくなJBSの楽しみ方 音楽&JBSをUSENで! お問い合わせ・お申込みはJBSまで。電話 06-4801-7400 FAX 06-4801-7401 URL http://www.jbs.or.jp ここまで