ここから JBS通信2016年5月号 No.24 JBSは視覚障害者向け専用ラジオ局です。 [発行]JBS日本福祉放送 (社会福祉法人視覚障害者文化振興協会) 〒534-0026 大阪市都島区網島町4-12 TEL 06-4801-7400  FAX 06-4801-7401  URL http://www.jbs.or.jp 発行責任者 川越利信   定価 1部 50円 目次 1. あらためて防災への意識を 2. 広告 3. リオ・パラリンピックに向けて③ リオでも金メダル ~水泳~ 4. 消費生活あどばいっち 第3回「視覚障害者は保険に入れない?」 竹田幸代 5. 被災者支援を開始 ㈱タイムズコーポレーション 6. 音訳ノート 第3回「新聞記事の選び方」 渡辺典子 7. JBS日本福祉放送 番組案内 8. 同行援護従業者(ガイドヘルパー)養成研修のご案内 9. 同行援護 登録者募集中 10. ボランティア募集 11. インフォ・ボックス 12. 編集後記 1. あらためて防災への意識を 熊本地震を受けて 東日本大震災からちょうど5年が経過した今春、熊本県・大分県を中心に大きな地震が発生。4月27日現在、死者数49名、負傷者数1400名を超える現在進行形の大災害である。   熊本県の視覚障害者数は約6720人(平成26年度福祉行政報告例)。すでに視覚障害団体が支援に動き始めており、被害の詳細が明らかになるにつれ、きめ細かな支援が求められる。 一方、被災地から遠く、直接の被害を受けなかった視覚障害者はあらためて防災について考え、具体的な行動に移してほしい。そのような思いのもと、今回は日本ロービジョン学会発行のリーフレットを紹介したい。 7つのポイント 日本ロービジョン学会は、視覚障害者とその家族向けに2種類のリーフレット「災害が起きたときのこと考えていますか」と「被災してしまったら」を、また一般向けに「避難所内の見えない・見えにくい人ご支援ください。」を発行している。この中から、「災害が起きたときのこと考えていますか」にある「そなえておきたい7つのポイント」を以下に挙げる。 ①一緒に逃げてくれる人の確保 家族の不在時に災害が起こることも。近所の人との関係を築いておくこと。 ②要援護者の登録 家族以外で手助けをしてくれる人を確保するための第一歩。迅速な救助・支援につながる。 ③避難所・避難ルートの確認 実際に歩いてみること。また、「福祉避難所」の確認も。 ④災害用伝言ダイヤル171 災害時には電話がつながらないことも。家族との連絡に利用できる、NTTの声の伝言サービス。 ⑤非常持ち出し品の確認 拡大鏡・ICレコーダー・白杖などは避難所では簡単に手に入らない。電池は定期的に交換を。助けを求めるときに笛は有効。 ⑥自宅の耐震化、必需品の準備・備蓄 被災後に自宅に戻る場合も。普段から可能な限りの耐震対策を。水・食料の備蓄も必要。 ⑦早めの避難を心がけて 災害の可能性が少しでもあれば、安全に避難できるうちに自主避難するのも一つの手段。普段から防災について検討・相談を。 今すぐ行動を 以上、7つのポイントを紹介したが、日盲社協発行の『みんなで知っ得[助かる][助ける]視覚障害者のための防災対策マニュアル 増補版』では、災害時に備えて通勤通学ルートを3ルート確保しておくことや、電車がストップしたときのために複数の交通機関で自宅と職場(学校)を行き来できるルートを押さえておくことなどが挙げられている。 日本ロービジョン学会のリーフレットは、次のURLからダウンロードできる。 https://www.jslrr.org/information/disaster 2. 広告 ちょっとぜいたくなJBSの楽しみ方 音楽&JBSをUSENで! USENは24時間のノンストップ放送で、500チャンネル勢揃い。 快適な音楽生活をお約束します♪ 月額使用料6,000円のところ→3,000円(税別) お問い合わせ・お申込みはJBSまで。 電話 06-4801-7400 FAX 06-4801-7401 URL http://www.jbs.or.jp 3. リオ・パラリンピックに向けて③ リオでも金メダル ~水泳~ オリンピック同様、パラリンピックでも水泳は人気競技の一つ。選手の活躍がその国の選手団全体に影響を与える競技だ。日本のパラ水泳の第一人者と言えば、日本パラリンピアンズ協会の河合純一会長(全盲)。1992年のバルセロナから2012年のロンドンまで6大会連続出場。金メダル5個を含む獲得メダル数21個の偉大なパラリンピアンだ。 日本水泳陣は前回のロンドンでは、メダル数8個(金2、銀2、銅4)という結果。視覚障害選手では、秋山里奈が金を、木村敬一が銀と銅を一つずつ獲得した。だが、秋山がロンドン後に現役を引退。リオ大会では、昨年のIPC世界選手権(イギリス)で、100m平泳ぎと100mバタフライで優勝し、早々と代表に内定した木村に期待がかかる。 その木村を除く代表選手の選考会を兼ねた「春季静岡水泳記録会」が3月6日、静岡県富士市で開催された。この日の結果により、計19名(男12・女7)の選手が代表に内定。ロンドンの金メダリスト・田中康大や銀メダリスト・中村智太郎も選ばれた。視覚障害選手では、木村の他に、小野智華子、笠本明里、生長奈緒美の女性3名が内定を勝ち取った。 パラ水泳は、身体障害(肢体不自由)・視覚障害・知的障害の三つに分けられる。視覚障害選手の種目には11~13の数字がつけられ、障害が重いほど数字が小さくなる。 4. 消費生活あどばいっち 第3回「視覚障害者は保険に入れない?」 竹田幸代 消費者支援機構関西さん主催の「事業者と消費者の双方向コミュニケーション研究会」に参加しているのですが、3年前から、住友生命さんと見えない・見えにくい人たちがお互いのできること・できないことを聞いて、「どのようにすれば、より良い関係を築くことができるか」を一緒に考えようという場を設けています。そこで毎年、参加者から必ず出る、生命保険に関するQ&Aをまとめてみますね。 Q1 視覚障害者でも保険に入れるの? ―「視覚障害者だから保険に入れない」ということはないそうです。視覚障害になった原因などを確認し、加入の可否を総合的に判断しているとのことです。 Q2 10年ほど前、難病だからって断られたけど? ―難病である目の疾患が将来の入院や手術の可能性に影響が無いと確認されたものについては取扱いを変更しているケースもあるので、再度お尋ねいただく方がよいのではないかとのこと。 Q3 視覚障害者は、けがのリスクが大きいんじゃない? ―因果関係がはっきりしていれば別ですが、例えば、お酒をよく飲む人は必ず肝臓がんになるとは考えないのと同様に、単に「視覚障害者だから」という考え方はないそうです。 他にも、ホームページや職員さんの営業用携帯端末では、契約のしおりや約款などを拡大して確認することなども可能ですよ、といった話もありました。ご自身が音声ガイドの入った機器をお持ちなら、音声でも確認できそうですね。   以上は、あくまでも住友生命さんの例なので、一言で「視覚障害者でも入れまーす」とは言えないものの、コープ共済さんでも同様の対応をされるとのことです。 重度障害になると、重度障害者医療費助成制度によって、受診・入院時の自己負担分が助成されますね。そのおかげで医療費なんかがほとんどかからなくても、例えば母親が入院すると、家族は外食やコンビニ弁当で済ませたり、それなりの出費は伴うもの。貯蓄する?保険に入る?備えについて少し考えてみます? たけだ ゆきよ 消費生活アドバイザー。社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター サービス部勤務。きんきビジョンサポート(KVS)代表代行。 5. 被災者支援を開始 ㈱タイムズコーポレーション 視覚支援機器の企画・販売をおこなう株式会社タイムズコーポレーション(兵庫県宝塚市)が、「熊本地震」を受け、以下の特別対応を実施します。 拡大読書器・デイジープレイヤーなどの修理について ①修理工賃なし。 ②部品代は、原則、メーカーが提供する実費を修理代金とする(各メーカーに特別価格、無償提供の協力を要請中)。 ③修理品送料はそれぞれの送り主負担(返送時の送料はタイムズコーポレーションが負担)。 *販売店などの取次ぎや設置説明サービスを受ける場合は、原則、そのサービス料が必要。 *原則、タイムズコーポレーションが販売元で販売した機種。判別が難しい場合は、お問合わせ先まで。 携帯型拡大読書器を無償貸与 紛失または大きく損傷し再給付申請をする方、または新規に給付申請をする方で、自治体の受付の再開に時間がかかる見込みの方には、タイムズコーポレーション備品の携帯型拡大読書器を必要な期間、無償貸与。 対象地域 九州の地震被災地 受付期間 2016年4月18日~7月31日 お問合わせ先 株式会社タイムズコーポレーション  お客様相談室 0120-886610 http://www.times.ne.jp 6. 音訳ノート 第3回「新聞記事の選び方」 渡辺典子 JBSの新聞音訳番組は朝刊が2時間、夕刊が90分。ともに全国紙3紙をあつかいます。もちろんこの時間内に3紙の全ページを読めるわけではありません。ですから、記事の取捨選択が必要です。 ところが、この「記事の選択」が音訳者にとって一番の悩みでもあるのです。音訳者がこれはと思ってもリスナーには隔靴掻痒、要望と選択の両者がピタリと合致するのは難しいこと。その上、時間の制約が加わると一層厳しいものとなります。音訳者にほぼ任されている記事の選択をどのようにすれば番組の満足度を高めることができるのでしょうか。 まず大事なことは、時の話題や新聞社が伝えたいと思っていることを正確に把握すること。これは紙面のタイトルが参考になります。次に、記事の書き方が具体的な表現をしておりテレビ報道とは一線を画すもの、一段の見出しでも「おや!」と興味を引かれるものなどは一つの目安と考えられます。 私たちは目の代わりとして新聞の内容を伝えなければならないので日常生活の中でニュースに対する「センス」を養うことが大切です。数多くのニュースに接し考えること、家庭で新聞を読む時もどの記事を音訳するかを吟味し、解説記事なども読んでおくと有効でしょう。 わたなべ のりこ 音訳歴40年以上の現役ボランティア。各地で後進の指導・育成にあたる。 7. JBS日本福祉放送 番組案内 ◆「心のうた」 童謡や歌謡曲の歌い方を楽しくレッスン。毎回、歌好きの視覚障害者をゲストに迎え、歌手の安永郁子さんが歌唱指導をします。 放送日 毎月第1・3週の月曜日~日曜日 8時00分~8時30分 出演 安永郁子、スノーエンジェル、視覚障害の皆さん ◆「防災・減災としての視覚リハ(阪神大震災から20年を過ぎて)」 3月20日におこなわれた視覚障害リハビリテーション協会主催の「災害時に専門家ができること、すべきこと~準備はできていますか、していますか~」から、森一成氏(神戸アイライト協会理事長)の講演を放送します。 放送日 4月26日(火)~5月1日(日)12時15分~13時00分  *「JBSオンデマンド」でも放送。 8. 同行援護従業者(ガイドヘルパー)養成研修のご案内 NPO法人の日本福祉放送が運営する音友(おんゆう)事業所では、以下の要領で、同行援護従業者養成研修(一般課程・応用課程)を実施します。 日程 【応用】 5月14日(土)、15日(日) 【一般】 7月15日(金)、16日(土)、17日(日) 【応用】 7月29日(金)、30日(土) 会場 (5月)福島区民センター(7月)浪速区民センター 定員 各19名 受講料 【一般】 1万800円(税込)【応用】 8800円(税込)*テキスト代(税込2592円)別途。 問合せ 音友事業所 担当 森尾 電話 06(4801)0171 ファックス 06(4801)7401   HP http://eye-eye.jp 9. 同行援護 登録者募集中 音友では、利用者&ヘルパーの登録を随時受け付け、外出など移動の援護、視覚的情報の支援、代筆・代読などのサービスをおこなっています。また、ヘルパーへの研修も予定しています。 お問い合わせは、音友事業所まで。 10. ボランティア募集 JBS日本福祉放送では、新聞音訳ボランティアを募集しています。 活動内容は、朝日新聞・日本経済新聞・読売新聞のいずれかを生放送で音訳していただきます。放送時間は、朝刊が10時から12時、夕刊が16時30分から18時です。 ご興味のある方は、電話予約のうえ、スタジオ見学にお越しください。 電話 06(4801)7400 11. インフォ・ボックス ◆「心のうた」 公開収録 日時 5月5日(木・祝)13時30分~15時30分(開場13時) 場所 いたみホール(兵庫県伊丹市) 入場料 無料 問合せ JBS日本福祉放送 川上 電話 06(6358)1673 ◆きんきビジョンサポート 視覚障害に関する事で 困っている事、聞いてみたい事など、お気軽にどうぞ。 電話 070(5504)2539 メール info@kvs.cc 12. 編集後記 災害は、弱者へより苛酷に迫る。熊本の友人にようやく電話が繋がったのは、本震の後。聴けば、「水がない、どう生き延びるかいま必死」、と言う視覚障害の彼は、脳梗塞のため11年前から車いす生活を強いられている奥さまと、身内が所有する車の中で夜を過ごさざるを得ない状態に置かれていた。先ごろ家で寝られるようになり、感慨無量なおももち。(川越) ここまで