ここから JBS通信 2016年8月号 No.27  主な内容 1. 音で触れ合う 2. 第17回日本ロービジョン学会学術総会 3. 消費生活あどばいっち 第6回「わたしたちの特別な場所」 竹田幸代 4. 眼科医と教育連携 5. 音訳ノート 第6回「難しい固有名詞」 渡辺典子 6. JBS日本福祉放送 主な番組案内 7. ガイドヘルパー養成研修のご案内 8. 音訳ボランティア、始めませんか! 9. インフォ・ボックス 10. 編集後記、広告、奥付 1. 音で触れ合う 水色のドレスで身を包み、やや大きめのネックレス、銀色のハイヒール、控えめなイヤリングとアップスタイルの髪には大きな白いコサージュ。 非日常的な装いで、少しばかりの緊張と興奮が織りなす悦びが感じとれる。しかし穏やかな表情でマイクを持ち、ステージに立つ山本茂子(やまもと・しげこ)さん。 このイベントは、見えない・見えにくい人びとのQOL向上を目的として、多くの方々に支えられながら、平成21年からJBS日本福祉放送が開催している「JBSフォーラム・音で触れ合う」という事業名称のカラオケ大会。今年は勝ち抜き方式で、春と夏にそれぞれ15人ほどを選抜し、12月10日にJBS杯を争うという趣向。その夏の大会が7月23日、大阪市東成区民センターで、41名の参加者で競われた。 ステージ運びは、JBSのベテラン・アナウンサー吉富順子(よしとみ・じゅんこ)さん。アシスタントは、見えない女性リスナーが交代で務める。今回は、運動大好きの林かよみ(はやし・かよみ)さん。初めてにしては落ち着いた司会ぶりを見せた。 審査してくださったのは、大阪府視覚障害者福祉協会の髙橋あい子(たかはし・あいこ)会長、歌手の前川裕美(まえかわ・ゆみ)さん、伊丹市会議員の山本恭子(やまもと・きょうこ)さん。 写真を撮ってくださったのは池田安久(いけだ・やすひさ)さん。いつも、写真ボランティアとしてご協力いただく。 音で触れ合うカラオケ大会は、非日常性を楽しむ遊び心が大切。女性出演者は和服からドレスまで、思いっきりおしゃれを楽しむ人が多い。ステップを踏んだり、踊ったりしながら歌う達者な人さえもいる。実は、見えない人が踊りながら歌うのは容易ではない。元の位置に正確に戻れるとはかぎらないから。 盲導犬と一緒に歌う人、点字で歌詞を読みながら歌う人、ヘルパーに歌詞を先読みしてもらうなど、さまざま。今回は、デュエットも登場し、会場が和んだ。 決戦は、12月10日。JBS杯は誰の手に! 写真 1 山本茂子(やまもと・しげこ)さん 2 司会の吉富順子(よしとみ・じゅんこ)さんと林かよみ(はやし・かよみ)さん。 3 うしろからヘルパーに先読みしてもらいながら歌う濱田昭二(はまだ・しょうじ)さん 2. 第17回日本ロービジョン学会学術総会 8月26日・金曜日から28日・日曜日、新潟市の朱鷺(とき)メッセで「第17回日本ロービジョン学会学術総会」が開催されます。「目指せ!QOVLサポーター。ベスト・クオリティー・オブ・ビジュアル・ライフ」というテーマのもと、さまざまなプログラムが予定されています。 主なプログラムは、以下の通りです。 特別講演「視覚障害とロービジョンケアの近未来」 高野繁(たかの・しげる)氏  日本(にほん)眼科医会・会長 教育講演「見えないものが見える―シャルル・ボネ症候群を含めて―」 若倉雅登(わかくら・まさと)氏  井上眼科病院・名誉院長 教育講演「ロービジョン関係者が学ぶべき障害者差別解消法の意義」 竹下義樹(たけした・よしき)氏  日本(にほん)盲人会連合・会長 JBSでは同総会を収録・編集のうえ、放送します。また、事前に、総会のあらましと魅力をお伝えする事前広報番組も予定しています。詳細は追ってJBSのホームページでお知らせします。 3. 消費生活あどばいっち 第6回「わたしたちの特別な場所」 竹田幸代 『わたしのとくべつな場所』(パトリシア・マキサック著 児童書)を読みました。1950年代のアメリカ南部、黒人の女の子が差別を受けながら目指した先、入口に書かれた言葉「公共図書館・だれでも自由にお入りください」には感動! 私は、子どものころから結構本を読むほうで、目の病気が進行しつつある頃は、そのうち本も読めなくなると失望したもの。でも、私たち視覚障害者にも公共の図書館は開かれていて、そこでは点字図書や録音図書の製作・貸し出しなどもしているんですね。そして公共だけでなく、民間が運営する点字図書館や視覚障害者情報センターも日本各地にたくさんあります。 さらに今、私たち視覚障害者の読書の自由に大きく貢献しているのが、「サピエ図書館」。このサピエとは、視覚障害者への情報提供をおこなうネットワークのこと。約300の施設・団体が加盟し、書誌データベース約89万件を誇る巨大図書館です。と言っても、このサピエ、わざわざ足を運ぶ図書館ではありません。自宅のパソコンなんかで、サピエのホームページから図書を検索。16万タイトル以上の点字データ、または5万タイトル以上の音声デイジーデータがその場でダウンロードできます。携帯型端末を利用すれば満員電車の中で、あるいは家事をしながら、耳で聴く読書を楽しめます。サピエでは、小説やビジネス書はもちろん、週刊誌、映画サウンドに音声解説を加えた「耳で観る映画 シネマ・デイジー」も人気です。 また、視覚障害者の読書を支援するツールも充実しています。代表的なものでは、プレクストーク各種などの福祉機器、マイブックやアミなどのパソコンソフト、スマホアプリでは「ボイス・オブ・デイジー」などでしょうか。 一般的にもオーディオブックや電子書籍など読書のスタイルは格段に広がっていますが、間違いなく、点字図書館、視覚障害者情報センター、そしてサピエは、「わたしたちの特別な場所」ですね。 ●「サピエ」のURL https://www.sapie.or.jp/cgi-bin/CN1WWW ●「プレクストーク」のURL http://www.plextalk.com/jp/ たけだ ゆきよ 消費生活アドバイザー。社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター サービス部勤務。きんきビジョンサポート(KVS)代表代行。 4. 眼科医と教育連携 去る6月19日・金曜日から3日間、静岡市内で第25回視覚障害リハビリテーション研究発表大会が開催されました。JBS日本福祉放送では、大会プログラムから次の二つの講演を、8月2 日から放送しており、オンデマンドでも聴けます。 視覚障害リハビリテーション協会のホームページに公表されている抄録から、これら講演の概要を引用紹介します。 1「眼科医と教育連携 Change and Union」 講演者 松久充子(まつひさ・あつこ) 医療法人社団橘桜会(きつおうかい)さくら眼科院長 概要 幼稚園や保育園を含めた学校保健に携わり、視力検査を促進。眼科医と行政との連携により弱視の早期発見早期治療が可能になった。 ロービジョン児には早期からの「見える」体験が重要。就学前にロービジョンエイドの使用を開始したい。また、眼科医と視覚特別支援学校が連携して補装具・学習用具・ICT支援機器の選択と使用法の指導を実施して学習を支援できる。 眼科医は子どもの「見える」「わかる」「理解される」を手伝って未来を担うための学習をサポートできる。 2「教育機関における合理的配慮の現状と課題 教科書のアクセシビリティと大学における支援を中心に」 講演者 中野泰志(なかの・やすし) 慶応義塾大学教授 概要 中央教育審議会は、障害児の教育を受ける権利を確保するための合理的配慮を定義し、差別的取扱いや合理的配慮の事例も示している。 教科書や教材の拡大・音声・点字化は、視覚障害児にとって重要な配慮である。ただ、配慮に際し、過度の負担が伴う可能性もある。文部科学省は、この課題を解決する方策を講じてきた。 そのひとつ、配慮した教科書デジタルデータの活用に関する最新情報や教科書・教材閲覧アプリ「UDブラウザ」の開発・活用状況と関連施策の動向を紹介する。 5. 音訳ノート 第6回「難しい固有名詞」 渡辺典子 音訳のネックは漢字にあると思います。中でも困難なのが固有名詞です。今ではPCで検索も早くできますが、そのような方法のなかった頃の失敗談を人名・地名それぞれで。 まずは、「久曽神昇」という国文学者。知らない。名字はキュウソジン?名前のノボルは間違いないと考えました。数日後、本の広告を見てびっくり。「昇」のルビにはヒタクとあるではありませんか。後で調べた『日本姓名よみふり辞典』の「昇」の項には、ノボルのほかに六番目にヒタクとありました。 次に、「桜上水(さくらじょうすい)」という地名。忘れもしない24年前の5月23日。この地名がすぐに読めずにモタモタしているちょうどその時、寬仁(ともひと)親王殿下の御入来。放送後、殿下が「あなた―」と。玉川上水は知っていたのに、頭の中の辞書がうまく機能しませんでした。 人名・地名ともに、どうしても読みがわからない時は、漢字の説明で切り抜ける方法も考えられます。 また、中国や韓国、北朝鮮の固有名詞も音訳者にとっては大きな壁に。ルビがない場合は漢音で読み、韓国・北朝鮮の人名は『人名仮名表記字典』で当該の音を探します。 人名や地名を記憶するには限りがあります。日頃からアンテナを張り、キャッチした情報は記録し、応用することが大切です。 わたなべ のりこ 音訳歴40年以上の現役ボランティア。各地で後進の指導・育成にあたる。 6. JBS日本福祉放送 主な番組案内 ・「JBSフォーラム 第2回予選会」 8月中に放送予定。オンデマンド放送あり。 ・「第17回日本ロービジョン学会学術総会 事前番組」  8月中旬に放送予定。オンデマンド放送あり。 ・「今日の新聞 朝刊」  月曜日から日曜日の10時から12時まで。 ・「今日の新聞 夕刊」  月曜日から土曜日の16時30分から18時まで。 ・「新刊ラジオ」  月曜日から日曜日の19時から19時30分まで。 ・「IT情報アップデート」  月曜日から日曜日の9時30分から10時まで。 ・「らくらく生活」  月曜日から日曜日の20時30分から21時まで。オンデマンド放送あり。 ・「心のうた」  第1週と第3週の月曜日から日曜日。8時から8時30分まで。オンデマンド放送あり。 ・「JBSインフォ・ボックス」  月曜日から金曜日の12時から12時15分まで。 「新刊ラジオ」放送予定 8月1日『砂糖をやめて元気で医者いらず』 8月8日『20代のうちに知っておきたい100の黄金ルール』 8月15日『どうする定年 50歳から巻き返し! まだ間に合うマネー対策』 8月22日『「やる気」が出るコツ、続くコツ―わかっているけど動けないあなたへ』 8月29日『「頑張らない」から上手くいく』 「らくらく生活」 視覚支援機器を中心に、便利なもの、おいしいもの、楽しいものをご紹介します。 出演 山口成志(やまぐち・せいじ)、竹田幸代(たけだ・ゆきよ) 放送日 毎日20時30分から21時まで。オンデマンドでも放送中。 7. ガイドヘルパー養成研修のご案内 同行援護従業者養成研修を実施します。 【一般】 9月17日・土曜日、18日・日曜日、19日・祝日・敬老の日 【応用】 9月24日・土曜日、25日・日曜日 会場 浪速区民センター  定員 各19名 受講料 【一般】 10,800円 【応用】 8,800円   問合せ 音友(おんゆう) 担当 森尾 電話 06(4801)0171  FAX 06(4801)7401  URL http://eye-eye.jp 8. 音訳ボランティア、始めませんか! JBS日本福祉放送では、新聞音訳ボランティアを募集しています。 活動内容は、朝日・日経・読売新聞のいずれかを生放送で音訳していただきます。放送時間は、朝刊が10時から12時、夕刊が16時30分から18時です。 ご興味のある方は、電話予約のうえ、スタジオ見学にお越しください。 電話 06(4801)7400 9. インフォ・ボックス ◆iPad体験コース  以下2つのコースから選択。①「音声機能を体験してみよう」②「音声機能でアプリを活用しよう」。日時は、①が9月24日・土曜日、10月1日・土曜日、②が12月10日・土曜日、17日・土曜日。すべて13時から16時まで。会場は、神戸市中央区の中山記念会館。定員は各5名。参加費は無料。申込み:神戸アイライト協会 078(252)1912 10. 編集後記、広告、奥付 編集後記   リオデジャネイロ・パラリンピック日本選手団の結団式と壮行会が8月2日、東京都内で開催された。アスリート127人、競技パートナーや役員を含む合計225人が、東京オリ・パラを意識してリオへ向かう。東京パラに向けて、22競技中、17競技に参加。金10個を含む計40のメダル獲得、メダルランキング10位が目標。健闘を祈りたい。 広告 音楽&JBSをUSENで! お問合せ・お申込みは、JBSまで。06(4801)7400 同行援護なら、音友(おんゆう)へ 音友は、見えない・見えにくい人びとの外出を支援します。ヘルパーの養成・研修も行います。 電話06(4801)0171  URL http://eye-eye.jp 奥付 JBS通信 2016年 8月号 №27 発行日 2016年8月4日  発行所 JBS日本福祉放送(社会福祉法人視覚障害者文化振興協会) 住所 〒534-0026大阪市都島区網島町4番12号  電話 06(4801)7400 ファックス 06(4801)7401 URL http://www.jbs.or.jp 発行者 川越利信 企画・編集 川越利信・金田直樹/レイアウト 佐藤庸子  定価 1部50円 ここまで