ここから JBS通信 2016年7月号 No.26  主な内容 1. オリ・パラ 体験と共感 2. JBSの活動、NHKで放映 3. 消費生活あどばいっち 第5回「消費生活センターに行こう!」 竹田幸代 4. ボランティア研修会 5.「音で触れ合う」 第2回予選会のご案内 6. 音訳ノート 第5回「生放送の醍醐味は」 渡辺典子 7. 第5回STT選手権大阪大会 開催 8. JBS日本福祉放送 主な番組案内 9. ガイドヘルパー養成研修のご案内 10. 音訳ボランティア、始めませんか! 11. インフォ・ボックス 12. 編集後記、広告、奥付 1. オリ・パラ 体験と共感 1 見る、体験する 「まず見て体験の場を」。6月27日、日経新聞の障害者スポーツ特集の中に興味深い記事があった。日本(にほん)福祉大学の教授、藤田紀昭(ふじた・もとあき)氏へのインタビュー記事である。 確かに、障害者スポーツに対する社会の関心は高まり、リハビリテーションから競技・スポーツへ移行している。所轄も厚労省から文科省へ移管された。  藤田氏は言う。「障害者スポーツを実際に生で見れば、人々の障害者への意識はポジティブに変わる」。更に、各地で障害者スポーツに関するイベントが開催されれば、見る機会が増える。見るだけでなく実際に体験してほしい。体験を通して、障害者スポーツのおもしろさがわかり、共生を実践できる、と続ける。 まさにそうだ、と思う。体験することで理解と共感が生まれる。地域社会や教育について、少し長文になるが藤田氏の考え方を引用したい。  「障害者スポーツがより普及していくための課題はまず、福祉、スポーツなど地域の障害者関連団体が一堂に会する場を作って、スポーツをしたい障害者がスムーズに競技ができる環境を整えること。そうした連携により、家の近くの総合型スポーツクラブが障害者を受け入れるようになれば、遠くの障害者スポーツセンターに行かなくて済む。 もう一つの課題は、指導者の問題だ。学校の体育の先生が障害者スポーツの知識を持てば、普通校へ行く障害児が体育は見学、という状況を改善できる。体育の教員養成課程で、障害者スポーツを必須にする必要があるだろう」。 2 東京オリ・パラに向けて  特に最近のテロ問題や地域紛争、EU問題など、新聞やラジオ・TVの情報に接するたびに不安になる。私たちがいかに危うい状況にあるのかを思い知らされ、歴史の転換期にあることを感じる。このように時代が大きくうねる時こそ、ひとりひとりの考え方や行動がいかに重要か、英国の国民投票を通して考えさせられた。  東京オリ・パラに関して、残念にも次々と疑問に思われる事柄が表面化し、なんとなく気分が委縮した感がある。障害者スポーツは、こんな状況下で、どんな役割が担えるのか、東京オリ・パラにどう向き合えばいいのか、いまひとつ確かなものが得られにくくなっていたが、藤田紀昭氏の主張には、示唆を与えられた。 2. JBSの活動、NHKで放映 6月22日、NHK総合テレビの「ニュースほっと関西」で、JBSの番組制作やボランティア活動の様子が約6分間紹介されました。全国放送「おはよう日本」でも放映される予定になっています。 6月上旬から中旬にかけて、NHKのカメラがJBSのスタジオに入り、新聞音訳ボランティア活動の様子や人気番組「らくらく生活」の制作状況を追いました。 新聞音訳中の渡辺典子(わたなべ・のりこ)さんや滝田澄子(たきた・すみこ)さん、清水健司(しみず・けんじ)さんに続いて、山口成志(やまぐち・せいじ)さんと竹田幸代(たけだ・ゆきよ)さんが担当してくださっている「らくらく生活 もっと便利なモノかたり」が紹介されました。 全体的には、「目の不自由なラジオパーソナリティ」、竹田幸代さんの活動がコンパクトにまとめられており、感じのよい放映でした。 3. 消費生活あどばいっち 第5回「消費生活センターに行こう!」 竹田幸代 「お買い物が大好き」って人、たくさんいますよね。でも、気をつけてください。私たち消費者がトラブルに巻き込まれること、結構あるんです。   例えば、最近、インターネットで健康食品などを「お試し」のつもりで注文したら定期購入になっていたというトラブルが急増しているとのこと。このような金銭的被害につながるトラブルのほかにも、人気メーカーの化粧品が引き起こした健康被害の例も記憶に新しいのではないでしょうか。消費者がこうむる被害は多岐にわたります。 ところで、1年間の消費者被害額はどのぐらいだと思いますか。消費者庁公表の平成25年消費者被害額の推計によると、その額、なんと約6兆円!6兆円と言うと、セブン&アイ・ホールディングスの営業収益と同じぐらい。日々の楽しいお買い物と、被害額が同じではいかんわけですよね。 年々、悪質商法の手口は巧妙化しています。そこで情報収集に役立ててほしいのが、最新の情報がキャッチできる、国民生活センター発行のメールマガジン「おすすめフレッシュ便」。また、都道府県や市町村が運営する消費生活センターも強い味方。自治体によっては、消費者センターや生活科学センターなど呼び方はさまざまですが、商業地などのアクセスのよい場所に設置されていることが多いですよ。商品の事故や悪質商法についての相談はもちろんですが、トラブルの多い商品・サービスについての注意喚起もおこなっています。 消費生活センターでは、ほかにも、メーカーや事業者団体がつくった冊子などを手に入れることができたり、暮らしに役立つ楽しい講座も多く開催されていたり、お得感もたっぷり。無料で、地域の集まりに講師を派遣してくれることも。 ぶらっと立ち寄って、新しい情報を手に入れてみてはいかが? たけだ ゆきよ 消費生活アドバイザー。社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター サービス部勤務。きんきビジョンサポート(KVS)代表代行。 4. ボランティア研修会 JBS日本福祉放送では、新人の音訳ボランティアの方や比較的経験の浅い方を対象に、ボランティア研修会を実施しています。 次回の予定は、次の通りです。 日時 9月12日・月曜日 10時~12時 場所 JBSスタジオ 内容 音訳の基本について 講師 渡辺 典子氏 5. 「音で触れ合う」 第2回予選会のご案内 7月23日・土曜日、大阪市の東成区民センターで、「2016年JBSフォーラム 音で触れ合う」の第2回予選会が開催されます。 第1回予選会は3月におこなわれ、計16名が12月の決勝大会への切符を手にしました。第2回予選会でも、40名を超える視覚障害者が決勝大会を目指し、熱唱します。 ◆第2回予選会 概要 日時 7月23日・土曜日 12時45分~17時 会場 東成区民センター 小ホール    地下鉄「今里駅」から徒歩3分 参加者 視覚障害者 約40名 審査員(五十音順)髙橋 あい子(たかはし・あいこ)氏(大阪府視覚障害者福祉協会 会長)、前川 裕美(まえかわ・ゆみ)氏(歌手)、山本 恭子(やまもと・きょうこ)氏(伊丹市議会議員) 見学やボランティア活動を希望される方は、JBS日本福祉放送までご連絡ください。 6. 音訳ノート 第5回「生放送の醍醐味は」 渡辺典子 1988年4月のある雨の日のこと。「ちょっと来て」の言葉でスタジオに行き、七階の窓から見た風景を実況放送しました。それが、JBS(当時の名称は「ふれあい音友」)の第一声だったと記憶しています。 以来、JBSはその日の朝夕刊の音訳生放送を続けてきたわけですが、今回は、ボランティアの皆さんに生放送の醍醐味を聞いてみました。 まず、生放送で大変であることがずばり醍醐味であると。また、一様に挙げられたのは緊張感。さらには、スタジオの空気感、ワクワク感、時間の制限、集中力、真剣勝負、自分の気持ちとの戦い、後戻りできないこと。つまり、日常生活では味わえない雰囲気があるのだと思います。その他、3人で協力して読むので仲間ができる、他の人の読みが参考になる、時間内にうまくおさまった時はホッとする等々の声もありました。 新聞音訳の出発点は、録音図書の音訳技術にあります。生放送と録音図書の大きな違いは校正の有無です。誤読、フレーズ違いなど誰も訂正してくれません。音訳者の読みがそのまま放送に流れてしまうのです。責任重大。大変なプレッシャーですが「やめようと思ったことはない」と頼もしい皆さん。新聞を通して情報の共有を密にすることこそ醍醐味の最たるものと言えるでしょう。 わたなべ のりこ 音訳歴40年以上の現役ボランティア。各地で後進の指導・育成にあたる。 7. 第5回STT選手権大阪大会 開催 JBSが協賛している、STT大阪クラブ主催の「第5回STT選手権大阪大会」が6月19日・日曜日、大阪市長居障がい者スポーツセンターで開催されました。 STTとは、「サウンド・テーブル・テニス」の略で、視覚障害者の卓球です。通常の卓球と異なり、STTは台の上でボールを転がします。また、競技者は音を頼りにするため、ボールの中には4個の小さな金属球が入っていたり、ラケットにはラバーが貼られていません。もちろん、試合中は静かに観戦しなければなりません。 今大会には約50名の視覚障害者が参加。以下、各クラスの優勝者です。 男子A・アイマスクあり 磯田俊一郎(いそだ・しゅんいちろう)さん 東京 女子A・アイマスクあり 雨窪美紀(あめくぼ・みき)さん 三重 男子B・アイマスクなし 奥山徳治(おくやま・とくはる)さん 大阪 女子B・アイマスクなし 足立カヲル(あだち・かおる)さん 大阪 8. JBS日本福祉放送 主な番組案内 ・「第25回視覚障害リハビリテーション研究発表大会」。7月中に放送予定。オンデマンドでも放送。 ・「第64回全国盲人福祉施設大会」。7月中に放送予定。オンデマンドでも放送。 ・「今日の新聞 朝刊」 月曜日~日曜日 10:00-12:00 ・「今日の新聞 夕刊」 月曜日~土曜日 16:30-18:00 ・「新刊ラジオ」 月曜日~日曜日 19:00-19:30 ・「IT情報アップデート」 月曜日~日曜日 9:30-10:00 ・「らくらく生活」 月曜日~日曜日 20:30-21:00 オンデマンドでも放送。 ・「心のうた」 第1週と第3週の月曜日~日曜日 8:00-8:30 オンデマンドでも放送。 ・「JBSインフォ・ボックス」 月曜日~金曜日 12:00-12:15 「新刊ラジオ」 あらゆるジャンルの新刊書を紹介する「新刊ラジオ」は、単なる書籍の紹介にとどまらず、著者へのインタビューなど、その本の深部に迫ります。株式会社オトバンク提供。 ◆放送予定 7月4日『不良読本』 7月11日『ハナミズキのみち』 7月18日『まったく新しい「0円賃貸」で高収益マンション投資術』 「ロービジョン講座」 “医療からリハビリへのネットワーク「羽二重(はぶたえ)ねっと」に学ぶ”、岡島喜謙(おかじま・よしのり)氏が講演。大阪市視覚障害者福祉協会主催。オンデマンドで放送。 9. ガイドヘルパー養成研修のご案内 同行援護従業者養成研修を実施します。 【一般】 9月17日・土曜日、18日・日曜日、19日・祝日・敬老の日 【応用】 9月24日・土曜日、25日・日曜日 会場 浪速区民センター  定員 各19名 受講料 【一般】 10,800円 【応用】 8,800円   問合せ 音友(おんゆう) 担当 森尾 電話 06(4801)0171  FAX 06(4801)7401  URL http://eye-eye.jp 10. 音訳ボランティア、始めませんか! JBS日本福祉放送では、新聞音訳ボランティアを募集しています。 活動内容は、朝日・日経・読売新聞のいずれかを生放送で音訳していただきます。放送時間は、朝刊が10時から12時、夕刊が16時30分から18時です。 ご興味のある方は、電話予約のうえ、スタジオ見学にお越しください。 電話 06(4801)7400 11. インフォ・ボックス ◆音声ガイド付き上演 ピッコロ劇団 「オズのオジさん やーい」  8月7日・日曜日、11時から、宝塚市のピッコロシアター・大ホールで。料金は一般2,500円、中学生以下1,500円、一般と中学生以下のセットが3,500円。イヤホンは事前に申し込むこと。締切りは、7月31日。ピッコロシアター「音声ガイド」 担当 古川さん、西岡さん 電話06-6426-1940 ◆松本義和(まつもと・よしかず)氏 講演 講師は、全日本障がい者柔道選手権優勝者、シドニーパラリンピックのメダリスト。テーマは、「エンジョイライフ楽しく生きなきゃ損」。7月3日・日曜日の10時から12時。宝塚市総合福祉センターで。予約・電話0797-86-5001(ボランティア活動センター) 12. 編集後記、広告、奥付 編集後記   ロービジョンへの関心の高まりを感じる。見えにくい状態に差し掛かった人たちに、医療を超えた助言を与える眼科医の熱心な動きもある。それでも、仕事や学習ではもはや無理があるほど見えない状態に陥ってしまって、しかしなお、何をどうしたらいいかわからないで、苦悶の深い霧の中に迷い込んでいる人たちも少なくない。 それら迷い道にいる人たちにシグナルを送り、共歩共生の声をかけようとする「スマートサイト」の動きが最近、顕著だ。この動きに、期待を寄せたい。 広告 音楽&JBSをUSENで! お問合せ・お申込みは、JBSまで。06(4801)7400 同行援護なら、音友(おんゆう)へ 音友は、見えない・見えにくい人びとの外出を支援します。ヘルパーの養成・研修も行います。 電話06(4801)0171  URL http://eye-eye.jp 奥付 JBS通信 2016年 7月号 №26 発行日 2016年6月29日  発行所 JBS日本福祉放送(社会福祉法人視覚障害者文化振興協会) 住所 〒534-0026大阪市都島区網島町4番12号  電話 06(4801)7400 ファックス 06(4801)7401 URL http://www.jbs.or.jp 発行者 川越利信 企画・編集 川越利信・金田直樹/レイアウト 佐藤庸子  定価 1部50円 ここまで