発行 東日本大震災 視覚障害被災者支援ネットワーク インタッチ
〒530-0057 大阪市北区曽根崎1-3-15 JBS日本福祉放送内
TEL 06-6311-1735~38 FAX 06-6311-1743
編集・製作 川越 利信・東 大悟・金田 直樹・竹田 幸代・海老澤 弥生
インタッチ第二次調査報告
視覚障害者の被災状況とラジオ
岩手県 花巻・盛岡・宮古・釜石・大船渡
視覚障害被災者支援ネットワーク「インタッチ」は、4月5日から9日まで、第二次調査隊(金田直樹、荻阪敏弘)を派遣。
花巻、盛岡、宮古、釜石、大船渡で調査および安否確認・支援活動を行った。
インタッチ=JBSでは、今後、長期におよぶ支援活動を「情報」にシフト。被災地FM局と連携の方策を共に探った。
再び訪れた宮古市は、いたるところに地震と津波による大きな傷跡が残るものの、自衛隊や消防団の手でいくぶん復旧が進んでいた。
各避難所を回り、視覚障害者の安否確認を行う。前回の調査で面談した視覚障害者の母親にレポートを手渡し、たいへん喜ばれる。
前回の調査時は、ガソリン不足で使用出来なかったレンタカーで、釜石市に入る。
避難所によっては、衛生状態が劣悪な所もある。
指定されていない避難所は、物資配給の対象になっておらず、避難している視覚障害被災者は、明日食べる食料に不安を抱いていた。
大船渡市の被害は甚大。いまだに、いたるところに瓦礫の山。復旧はまだ先になりそうだ。
7日の余震で停電が続く。風呂は、自衛隊が野営用を設置している。
しかし、この日、避難所で面談した視覚障害者によると、入浴時間の制限や手すりがないなど高齢者や障害者には使いにくいようだ。
インタッチは、この現状を岩手県庁の障がい保健福祉課に報告。その後、各市の担当者に連絡してもらい、視覚障害被災者が入浴しやすくなるように手配してもらった。
今回の調査で、新たに3人の視覚障害被災者と面談し(安否確認は7人)、また白杖や音声体温計なども提供した。
インタッチ第二次調査概要
訪問避難所
4月6日 宮古市 鍬ケ崎小学校、宮古小学校、山口小学校、愛宕小学校で、1名の安否を確認。
前回面談した視覚障害被災者の母親、Kさん。レポートの掲載をとても喜ぶ。(宮古市の避難所で)
4月7日 釜石市 身体障害者福祉センター、釜石小学校、仙寿院、旧第一中学校体育館、のぞみ病院、釜石パンション、大只越集会所で、2名の安否を確認。
「明日の食料が不安」と語る視覚障害の兄妹。(釜石市の避難所で)
4月8日 大船渡市 リアスホール、盛小学校、大船渡地区公民館で、4名の安否を確認。
自衛隊の風呂について障害者や高齢者には使いにくいと語る視覚障害被災者。(大船渡の避難所で)
訪問施設
4月5日
花巻市のえふえむ花巻株式会社で、協働放送について協議。
盛岡市、岩手県視覚障害者福祉協会で情報共有
岩手県庁、障がい保健福祉課で情報収集
4月6日
宮古市、宮古市社会福祉協議会で情報収集
宮古市役所で情報収集
みやこさいがいエフエムで、協働放送について協議。
4月7日
釜石市の大阪市現地対策本部で情報収集
4月8日
大船渡市のおおふなとさいがいエフエムで、協働放送について協議。
4月9日
盛岡市にある岩手県庁で、障がい保健福祉課 調査報告
大阪府・和歌山県現地支援本部で情報収集
岩手県視覚障害者福祉協会で調査報告
JBS、情報にシフト 被災地のラジオと協働
「新たな国づくり」の自覚が求められる未曾有のこの大災害。被災した人びとは、これから長い長い苦難の道を戦い抜いて行かなければならない。
被災を免れて遠くにいる私達としては、被災者の艱難辛苦に思いを馳せ、長く記憶に留め、せめて支援を継続したい、と願う。
とは言うものの、被災した者と新聞やテレビで災害を見た者との間には、計り知れない距離がある。記憶を維持するいい手立てはないものか。
インタッチ=JBSとしては、今後、どう支援を継続するのか。インタッチの第一次調査に参加し、被災現場の惨状に言葉を失い、立ち尽し、考えた。「情報にシフトしよう」
早速、宮古市内にある「みやこさいがいエフエム」に出かけ、同局の伊藤敏会長と協働することで合意。
さらに、第二次調査隊は、安否確認とともに、他の局とのラジオでの協働を推進する任務を携えて出かけた。結局、当面、被災地のFMラジオ3局と協働することになった。
宮古のFM局の番組は、4月25日から、JBSで中継し、全国に被災地の生の声を配信し始めた。
段階的に、他局との番組も配信の予定。逆にJBSからも番組を届ける計画も。
協働放送を推進するFMラジオ局
みやこさいがいエフエム(宮古市)
震災後、いち早く災害放送をスタートした放送局。ユーストリームでも放送中。避難所や公的な施設などいたる所に、77.4MHzのポスターが見られた。
JBSとは、4月25日から協働放送がスタートした。
エフエム・ワン(花巻市)
従来の放送に戻っているが、リスナーの要望で災害関連情報を発信し続けている。
おおふなとさいがいエフエム(大船渡市)
パーソナリティは被災者が担当。市役所内にスタジオを構える。陸前高田市向けにも周波数があり、同市が毎日発刊している災害状況を伝える広報紙なども放送している。
インタッチ・レポート さまざまな反響
「長く、報せ続けてください」
母親が広島で被爆し、「私は2世。弟は、今、福島の原発で汚染水の処理中。連絡がつかなくて不安」と語る兵庫県在住の視覚に障害を持つ女性。
その彼女の言葉―「インタッチ・レポート」の第2号を手にして。「どうぞ、長く続けてください。こういう被災地の情報をみんなが忘れないように、長く報せ続けてください。」
「探していた視覚障害者の知人を見つけた!」
レポート第2号に掲載した視覚障害被災者の写真を見て、「探している知人のような気がする」と連絡が入る。
確認したところ、当人だった。安否確認の手助けとなる。
「音声時計をぜひ、視覚障害被災者へ!」
ツイッターから発信している情報に、組織に属さず一個人としてボランティア活動されている東京在住の方が共感。音声時計をインタッチ経由で届けたいという依頼を受ける。
「歌謡祭の募金をインタッチの活動に!」
レポート第2号を読んだ方から、イベントでの募金の全額をご寄付いただく。
「ご寄付」
インタッチを読んだ何人もの方々から、寄付が届く。中には匿名で10万円の寄付も。
他にも全国から、インタッチ・レポートに激励の言葉や支援をいただいている。
メディア情報
NHK
障害者の文化活動を紹介する番組「きらっといきる」3月25日放送で、インタッチ代表の川越利信が、岩手県第一次調査の話、災害時における視覚障害者への支援方法、視覚障害被災者への対応などを語る。
http://www.nhk.or.jp/kira/program/past/details/470_no.html
毎日新聞
4月3日の朝刊「視覚障害者の被災 実態把握できず」という記事に、インタッチの活動と調査内容が掲載された。
毎日新聞のニュース・情報サイト、毎日jpでも掲載中。
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110403k0000m040044000c.html
You Tube
第二次調査隊が撮影した写真レポートを字幕とナレーション付でアップ。
http://www.youtube.com/watch?v=wvrtHPHYNhE
ツイッター、フォロー募集
インタッチの最新情報、東日本大震災に関する情報、活動報告などをつぶやいている。ぜひ情報もお寄せいただきたい。
http://twitter.com/#!/intouchJBS
JBSホームページへ
「インタッチ・レポート」のPDF、テキストをアップ。
朝夕刊の音訳番組や震災情報なども聴取可能。視覚障害被災者の安否情報など、JBS日本福祉放送まで。
ホームページ http://www.jbs.or.jp
電話 06-4801-7400
ファックス 06-4801-7401
視障界挙げての支援、動き出す
岩手、宮城、福島などの被災地全域で電話が復旧した地域を対象に、日本点字図書館などが利用者リストに基づいて行っている安否確認が成果を上げている。
一方、日本盲人福祉委員会が主催する支援チームの活動も大きな成果を上げつつある。日本盲人福祉委員会は、日本の視覚障害者福祉の主要3団体(日本盲人会連合、日本盲人社会福祉施設協議会、全国盲学校長会)で構成されている。いわば、日本の視覚障害者福祉界を挙げての支援活動が動き出したことを意味する。
阪神大震災の時もそうであった。こういう大災害時には、行政は機能しない。民間の知恵と力こそが頼り。未曾有の大災害に対して、今、視覚障害者福祉に関わる人びとが力を結集し、総力で支援に乗り出した。支援チームが、ひとりでも多くの視覚障害者と出会えるよう、期待したい。
ご支援・ご協力に感謝申し上げます。
ありがとうございます。
平成23年4月3日-4月24日の期間にご支援下さった方々。(敬称は省略させていただきます)
関根プロダクション 関根 正弘 67,477円
廣野 秀子 10,000円
芳の川志信 38,417円
オフィス黒田 黒田 道丈 10,000円
佐藤 嘉修 20,000円
のとや 30,000円
古宮 亮 30,000円
㈱エーセツ カラオケモノトーン 13,331円
匿名希望の方 100,000円
歌謡劇場リズムトーン、久保 珠美 他 14,515円
ボランティア募集
現在のボランティア活動内容
1.電話やインターネットによる調査、情報収集・データ化
2.安否確認用データ作成
3.広報資料の作成
4.新聞クリッピング作業・展示更新
活動場所は、インタッチ事務所にて。
電話 06-6311-1735
メール intouch@jbs.or.jp
大阪でも支援活動が活発に
「がんばろう東北住民のつどい」
大阪市社会福祉協議会・大阪市ボランティア情報センター主催で、4月17日に「東北住民」の集いが催された。
被災し大阪市内で避難生活を送っている「東北住民」124人が交流会に参加した。
「PLAY for PRAY」
4月29日(金・祝)、JBSも協力し、国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)で東日本大震災チャリティライブが催される。詳しくは、ビッグ・アイ共働機構まで。
写真で見る被災地のさまざまな姿 写真は、いずれも4月上旬にインタッチスタッフが撮影
以下の写真は、第3号インタッチレポート(pdf)でご覧いただけます。
http://www.jbs.or.jp/01data/20110426.pdf
・宮古市役所は一部機能を回復。敷地内に転がった船はそのままだった。
・インタッチの現地対策本部がある岩手県視覚障害者福祉協会副理事長の三浦さんと情報交換。
・瓦礫は前回に比べ片付いているが、あちこちに被害の爪痕が残る。(宮古市)
・避難所までの移動中のひとコマ。
・鉄筋コンクリートの家屋が全壊している(釜石市)
・住宅敷地内に今なお転がる車。(釜石市)
・釜石市の繁華街付近に位置する交差点。左奥は釜石ベイシティホテル。
・陸に打ち上げられたタンカー。(釜石市)
・大阪市現地対策本部に届けられた寄付の自転車。(釜石市)
・家屋のほとんどが全壊。(大船渡市)
・瓦礫の中の時計。津波に飲み込まれたであろう時間で針が止まっている。
・卒園した証(あかし)のバッジ。この子の無事を祈る。(大船渡市)
・倉庫の屋根に乗っている車。(大船渡市)
・避難所の大船渡地区公民館。
編集メモ
被災地に足を踏み入れて以来、涙もろくなってしまった。「神戸」も経験しており、一方、老化も進み、鈍った感性の編集子でもこのありさま。被災した児らの感性豊かな心は、災害の惨状にどんな影響を受けているのか、災害の爪痕にどこまで支配され続けるのだろうか。そんなことを考えながらの第3号の編集。乞う、ご意見。(川)